太陽光発電所のケーブル盗難対策 ― 実際に行った工事と、守るべき場所
太陽光発電所の銅線ケーブルを狙った盗難が、全国で増え続けています。警察庁の統計では、銅線などの金属盗の件数は2020年の5,478件から、2024年には20,701件と、4年で約3.8倍になりました。人目の少ない郊外や山あいにある太陽光発電所は、特に狙われやすい場所です。
GHサービスでは、九州の発電所で盗難対策工事を行ってきました。この記事では、実際の工事でどこを、どう守ったのかを紹介します。
盗まれると何が起きるか
- 発電が止まる:幹線ケーブルを切られると、その系統の発電がすべて止まります
- 復旧に時間と費用がかかる:ケーブルの引き直しや機器の点検が必要になり、その間の売電収入も失われます
- また狙われる:一度入られた発電所は、対策をしない限り再び狙われる危険があります
盗まれてから直すより、盗まれる前に「手間がかかる発電所」にしておくほうが、結果的に損失は小さく済みます。
狙われやすい場所
現地調査をすると、ケーブルに手が届きやすい場所はおおむね決まっています。
| 場所 | 狙われる理由 |
|---|---|
| 接続箱・集電箱・キュービクルの扉 | 扉を開ければ、中のケーブルや端子にすぐ手が届く |
| 接続箱の下の配管 | 地面から立ち上がった配管を壊せば、幹線ケーブルを引き出せる |
| マンホール(ハンドホール) | 蓋を開ければ、地中を通るケーブルに直接触れられる |
| 法面(斜面)に転がしてある配管 | 地上に露出していて、切断しやすい |
| ケーブルラック | 蓋を外せば、中のケーブルをまとめて抜き取れる |
実際に行った対策
1. 扉に追加の鍵を取り付ける
接続箱やキュービクルの扉に、もともとの鍵とは別に、Uボルトとステンレス製のチェーン、南京錠を組み合わせた追加の鍵を取り付けます。鍵が二重になることで、扉を開けるまでの手間と時間が大きく増えます。
扉に穴を開けて取り付けるため、パッキンとシーリングで雨水対策を行い、チェーンにはビニルチューブのカバーを付けて、盤を傷めないようにしています。電気設備を扱う会社として、防犯のために設備の寿命を縮めないことも大切にしています。
2. 接続箱の下の配管を金属カバーで覆う
接続箱の下から地面へ伸びる幹線の配管を、メッキ鋼板の金属カバーで地面まで覆います。カバーを固定するボルトやナットは金属パテで固め、工具で外せないようにします。接続箱とカバーの間にはパッキンを入れ、直接触れないようにしています。
3. マンホールをコンクリートで埋める
マンホールの蓋の上からコンクリートを打設して埋めてしまう対策です。まわりは砕石で盛り上げ、雨水が溜まらないように仕上げます。打設したコンクリートは人の力では持ち上がらない重さになるため、蓋を開けてケーブルを抜き取ることができません。一方で、コンクリートの下にはシートを敷いておき、将来の点検や修理のときには機械で取り外せるようにしています。
4. 法面の配管をコンクリートで埋設する
斜面に地上で転がしてある配管は、そのままでは簡単に切断されてしまいます。配管ごと鉄筋入りのコンクリートで覆って埋設し、斜面でコンクリートがずれないように差し筋で固定します。
5. ケーブルラックの蓋を固定する
ケーブルラックの蓋に固定金具を追加し、ナットを締めたあとにネジ山へ傷を付けて回らないようにします。蓋を外せなくすることで、中のケーブルの抜き取りを防ぎます。
施工事例
事例1 九州のメガソーラー
- 接続箱16台:追加の鍵の取り付けと、下部配管の金属カバー
- キュービクルの扉8か所:追加の鍵の取り付け
- マンホール6か所:コンクリート埋設
- 法面の配管3か所:コンクリート埋設
工期は約1か月半。発電所全体の配置図をもとに、狙われやすい場所を一つずつ洗い出してから工事を行いました。
事例2 九州の発電所
- 接続箱・集電盤の扉:追加の鍵の取り付け
- ケーブルラック:蓋の固定
- 接続箱の下部配管:金属カバーとコンクリートの根巻き
接続箱の扉が開かないよう、鋼材でかんぬきを渡して強力な鍵で固定する方法なども、現場ごとに図面を描いてご提案しています。
対策は「発電所ごと」に選ぶ
盗難対策に、どの発電所にも当てはまる正解はありません。マンホールの数、法面の有無、接続箱の形(片開き・両開き)、道路からの見えやすさによって、優先して守るべき場所が変わります。
GHサービスでは、まず現地を調査し、配置図に危ない場所を書き込んだうえで、写真と図面付きの提案書をお出しします。予算に合わせて、優先度の高い場所から段階的に対策することもできます。
あわせて効果的な対策
- 防犯カメラ:侵入の抑止と、万一のときの記録に
- 警告看板:「防犯対策をしている発電所」であることを外から示す
- センサーライト:夜間の作業をしにくくする
- 草刈り・伐採:草や木が茂ると、外から作業が見えにくくなります。見通しを良くしておくことも防犯になります
よくある質問
Q. 一部だけ対策しても効果はありますか?
あります。盗難は、手早く作業できる場所が狙われます。特に被害の大きい幹線まわり(接続箱の下の配管、マンホール)から優先して対策するだけでも、狙われにくくなります。
Q. 点検のときに不便になりませんか?
追加の鍵は、点検のときに外せるようにしています。マンホールのコンクリートは人の力では持ち上がりませんが、シートを挟んで施工しているので、必要なときは機械で取り外せます。盗む側には開けられず、保守する側は開けられるように設計しています。
Q. すでに盗まれてしまいました。
ケーブルの引き直しなどの復旧工事と、再発防止の対策をあわせてご相談ください。
盗難対策のご相談は、GHサービスへ
GHサービスは、福岡・佐賀・長崎・熊本・大分を中心に太陽光発電所のO&M(運用・保守)を行っています。現地調査から提案書の作成、鍵の取り付け、配管カバー、コンクリート工事、防犯カメラ・警告看板・センサーライトの設置まで自社で対応します。草刈り・除草剤散布・伐採も、あわせてお任せください。
- 電話:092-953-8686(受付 9:00〜17:00/土日祝除く)
- 無料点検のお申し込みはこちら
- LINEで気軽に相談する
出典:金属盗の認知件数は警察庁の統計による(ALSOK「ケーブル盗難」より)
