太陽光発電所の地絡・絶縁不良、原因はどこにある? ― 130件を超える現場対応から分かったこと
「パワコン(PCS)が地絡で止まった」「低絶縁の警報が何度も出る」。太陽光発電所の運用で、もっとも多く、もっとも厄介なトラブルの一つが地絡・絶縁不良です。
GHサービスでは、2017年から九州各地の発電所で地絡・絶縁不良の調査と改修を行ってきました。その報告書は130件を超えます。この記事では、その記録をもとに実際にどこが原因だったのか、どう調べて直したのか、オーナーができる予防をまとめます。
地絡・絶縁不良とは?放っておくとどうなるか
地絡とは、本来は電線の中だけを流れるはずの電気が、傷んだ被覆や水を通って架台や地面へ漏れてしまう状態です。電線と地面の間の「絶縁抵抗」が下がることで起こるため、絶縁不良とも呼ばれます。
パワコンは安全のため、絶縁抵抗が下がると自動で停止します。そのため、地絡が起きると次のような損失・危険があります。
- 売電の損失:パワコン1台が止まれば、その系統の発電がまるごと止まります
- 停止の繰り返し:原因が残っていると、再起動しても何度も止まります
- 焼損・火災の危険:漏れた電気が発熱し、コネクタや機器の焼損につながることがあります
現場で見つかった原因
報告書を原因別に整理すると、おおよそ次のようになりました(1件で複数の原因が見つかった例もあるため、合計は一致しません)。
| 原因 | 件数(目安) |
|---|---|
| パネル1枚の絶縁不良(割れを含む) | 約25件 |
| ケーブルの損傷(わたり線・幹線・断線) | 約20件 |
| コネクタの焼損 | 約12件 |
| 現場到着時には復旧していた・異常が見つからない | 約12件 |
| パワコン本体の不良 | 約9件 |
| 水の侵入(配管・集電箱・コネクタの水没) | 約7件 |
| 結束バンド・バインド線の締め付けすぎ | 約6件 |
| その他(法面崩落、パネル飛散、オプティマイザー、小動物など) | 約10件 |
1. パネル1枚の絶縁不良がいちばん多い
もっとも多かったのは、たった1枚のパネルが原因で回路全体、ひいてはパワコンが止まっていたケースです。見た目で割れているパネルもあれば、外見はまったく正常なのに内部で絶縁が落ちているパネルもあります。
事例 パワコンが地絡で停止。回路の絶縁抵抗は0.3MΩまで低下していた。パネルを1枚ずつ測定して不良パネルを特定し、その1枚を回路から外す(バイパス)と、絶縁抵抗は25MΩまで回復し、パワコンも復旧した。
カラスなどが落とした石でパネルが割れ、そこから地絡が起きていた例も複数ありました。
2. 見えないところのケーブル損傷
次に多いのがケーブルの損傷です。特に、接続箱からパネルまでをつなぐ「わたり線」や、地中に埋まった部分は目視で確認できないため、原因の特定に時間がかかります。
事例 地絡が頻発。地上に出ているケーブルに傷はなかったが、パネル側とわたり線を切り分けて測定したところ、わたり線のマイナス側で地絡を確認。埋設部分での損傷が疑われ、わたり線を張り替えることになった。
ほかにも、草刈り機で配管ごとケーブルを切ってしまった例(配管の位置を把握したうえで作業することが大切です)や、パネル設置時にケーブルを挟み込んでいた例がありました。
3. コネクタの焼損
パネル同士、またはパワコンとをつなぐコネクタが焼けて、地絡や停止を起こしていた例です。接触不良で発熱し、焼損に至ります。
事例 パワコンが低絶縁で停止。調べるとパネル側のコネクタが焼損していた。コネクタを交換し、発電の再開を確認した。
4. 水の侵入
配管の中に溜まった雨水が集電箱の中に入り込み、ケーブルを伝ってブレーカーまで濡らしていた例がありました。周りの地盤が沈んで水が溜まりやすくなっていた発電所もあります。
事例 絶縁抵抗が低下。コネクタが水に浸かった状態だった。水に浸からない位置へ移したところ、絶縁抵抗が回復した。
5. 結束の締め付けすぎ
意外に多いのが、ケーブルを架台に固定する結束バンドやバインド線の締めすぎです。長年の締め付けで被覆が傷み、絶縁が落ちます。締め付けを緩めて固定し直しただけで、絶縁が回復した例が複数ありました。
6. 思わぬ原因
- 大雨で法面が崩れ、架台ごとパネルが押しつぶされていた
- 台風でパネルが飛ばされ、むき出しになったケーブルが雨で濡れていた
- 伸びた竹がコネクタ付近に触れていた。竹を取り除くと絶縁が回復した
- 空調機の室外機にヤモリが入り込み、漏電していた
- パネルと接続箱の間に入っているオプティマイザー自体が絶縁不良だった
「行ったら直っていた」地絡がいちばん厄介
報告書の中には、警報を受けて駆けつけたものの、到着した時には復旧していた、あるいは測っても異常が出なかったというケースが少なくありません。
原因の多くは水分です。たとえば、雨や湿気でコネクタやケーブルの傷んだ部分が濡れると、そこから電気が漏れて地絡が起き、パワコンが止まります。ところが、雨が上がって乾くと絶縁が戻り、地絡も消えてしまうのです。そのため、晴れてから駆けつけると、測っても異常が見つかりません。
実際に、早朝の朝露がある時間帯の測定では多くの回路で数値が悪かったのに、昼には回復していた例がありました。
こうした「たまに出る地絡」は放置されがちですが、ケーブルの傷やパネルの劣化が進むにつれて、やがて止まる頻度が上がっていきます。警報が出た日時と天気を記録しておくと、原因の特定がぐっと早くなります。
地絡の調べ方(GHサービスの手順)
- 集電箱で回路ごとの絶縁抵抗を測り、数値の低い系統を見つける
- 接続箱でさらに回路を絞り込む
- その回路をパネル側とわたり線に切り分けて測り、どちらが原因かを見極める
- パネル側なら1枚ずつ測定して不良パネルを特定し、バイパスまたは交換する
- ケーブル側なら、損傷箇所の接続処理、または張り替えを行う
- 復旧後に絶縁抵抗・開放電圧・発電を確認して完了
ポイントは、大きい範囲から順に切り分けていくことです。闇雲にパネルを見て回るより、測定で範囲を絞るほうが早く、確実に原因にたどり着けます。
オーナーができる予防策
- 除草業者に配管・ケーブルの位置を伝える(草刈り機による切断を防ぐ)
- 配管の出入り口のパテが劣化していないか確認する(雨水の侵入を防ぐ)
- 集電箱・接続箱のまわりに水が溜まっていないか見る
- パネルの割れ、ケーブルが架台から外れて垂れ下がっていないかを定期的に確認する
- 竹や雑草がパネル・コネクタに触れていないか確認する(伸びてきた竹や木は早めの伐採、雑草は定期的な草刈りや除草剤散布で、ケーブルやコネクタへの接触を防げます)
- 警報の日時と天気を記録しておく
よくある質問
Q. 地絡でパワコンが止まりました。再起動しても大丈夫ですか?
一時的な湿気が原因なら再起動で復旧することもありますが、原因が残っていれば再び止まります。焼損や感電の危険もあるため、繰り返す場合は専門業者に調査を依頼してください。
Q. 割れたパネルはすぐ交換が必要ですか?
割れていても、測定上は発電にほとんど影響がない場合もあります。ただし、割れから水が入って絶縁不良に進むことがあるため、測定して状態を確認したうえで、バイパスや交換を判断するのがおすすめです。
Q. 晴れの日に調べても異常が見つかりません。
雨天時や早朝だけ絶縁が下がるケースは珍しくありません。警報が出やすい天候・時間帯を記録しておき、その条件で測定すると原因を見つけやすくなります。
地絡・絶縁不良でお困りなら、GHサービスへ
GHサービスは、福岡・佐賀・長崎・熊本・大分を中心に太陽光発電所のO&M(運用・保守)を行っています。地絡調査から、パネルのバイパス・交換、ケーブルの張り替え、コネクタ交換まで自社で対応します。草刈り・除草剤散布・竹や木の伐採も、電気工事と合わせて一社で行えるので、業者を分ける手間がかかりません。最短即日で伺います。
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