太陽光監視装置の通信異常が起きる原因と対処法|現場事例と予防策
発電量のグラフが止まる、遠隔でログインできない、PCS(パワーコンディショナ=太陽光の直流を交流に変換する装置)との通信エラーが出る…。監視装置やネットワークの通信異常は、発電の見える化を失わせるだけでなく、機種によってはPCSが停止することもあります。GHサービスでは、これまでに太陽光発電所の監視・通信トラブルを約180件対応してきました。本記事では、現場で多かった原因、復旧の進め方、オーナー様ができる予防と早期発見のポイントをまとめます。
監視装置の通信異常とは?放置すると何が起きるか
監視装置は、PCSや日射計などのデータを収集し、ルーター経由でサーバーへ送ります。通信異常が起きると、遠隔で発電状況を確認できなくなり、停止や異常の発見が遅れます。さらに一部の設備では「通信指令タイムアウト」や「通信指令シャットアウト」などのエラーがトリガーとなり、PCSが停止する事例もありました。結果として売電損失や駆けつけ対応の遅れにつながるため、早期の原因切り分けと復旧が重要です。
現場で多かった原因と件数の目安
| 主な原因 | 件数の目安(約) |
|---|---|
| 監視装置・ルーター等の一時フリーズ(再起動で復旧) | 約25件 |
| 昆虫(主にアリ)の侵入による基板不良・エラー | 約35件 |
| 場内の通信線・LANケーブル・コネクタの接触不良/断線 | 約20件 |
| 場外の光・電話回線の断線やONU側の異常 | 約15件 |
| 無線/LTEの電波弱・アンテナ不良や向きズレ | 約12件 |
| ハブ・モデム・ONU・UPSなど周辺機器の故障 | 約18件 |
| ブレーカーOFF・トリップなど電源系の要因 | 約8件 |
| 監視装置本体・ロガー・変換器の故障 | 約18件 |
| PCS(パワコン)側の通信基板・内部要因 | 約8件 |
| 落雷など環境要因による計測機器の故障 | 約4件 |
監視装置・ルーター等の一時フリーズ
ネットワーク機器や監視装置の一時的なフリーズで通信が止まるケースです。再起動や電源再投入、LANケーブルの抜き挿しで復旧することが多くあります。
事例 遠隔ログイン不能。現地でLANケーブルの抜き差しと再起動を行い、外部サイト接続と監視の復旧を確認。
事例 パワーモニターのフリーズによる通信異常を確認。電源再投入で復旧。
昆虫(主にアリ)の侵入による基板不良・エラー
監視装置や計測ユニット内部にアリが侵入し、基板を短絡・汚損して通信エラーを誘発する事例が目立ちました。駆除と侵入経路の封止、再起動で復旧することが多いですが、重症だと機器交換が必要になる場合もあります。
事例 計測ユニット内部にアリの侵入を確認。駆除と再起動で通信復旧し発電を確認。
事例 監視装置カバー内でアリが増殖。駆除とパテ埋め強化後、再起動して復旧。
場内の通信線・LANケーブル・コネクタの接触不良/断線
LANコネクタのツメ折れ、ネジの緩み、被覆内の心線断線などの物理不良による通信断です。端子の締め直し、コネクタの作り直し、ケーブル交換で改善します。
事例 LANコネクタのツメ折れが原因で一群のPCSが通信断。差し直し・補修で復旧。
事例 LANケーブルの心線が数本断線。新規で端末処理し直し、通信復旧。
場外の光・電話回線の断線やONU側の異常
場外の通信線断線やONU(回線終端装置)の異常で、監視データが外部へ送れないケースです。木や竹が線に触れて断線したり、電柱の傾き、車両接触で破断することもあります。回線の補修・切替で復旧します。
事例 ONUの認証ランプが消灯。調査で場外配線の断線を特定し、補修後に復旧。
事例 周辺の木立や竹林の接触が原因で通信線が断線。伐採と接続復旧で正常化。
無線/LTEの電波弱・アンテナ不良や向きズレ
立地条件で電波が弱い、アンテナの向き・設置位置の問題、アンテナ自体の破損などが原因です。外付けアンテナの追加・位置変更、方位調整で改善する例があります。
事例 電界強度ランプが弱い表示。外付けアンテナや設置場所の変更を実施・提案。
事例 アンテナの向きを調整中に通信が復旧。併せて破損も確認。
ハブ・モデム・ONU・UPSなど周辺機器の故障
スイッチングハブの故障、モデムの不良、ONUの内蔵バッテリー劣化、監視装置用UPSの故障など。該当機器の交換やUPSのバイパスで復旧します。
事例 ハブのランプ全消灯。ハブ交換で通信指令エラーが解消し発電を確認。
事例 監視装置用UPSの異常で電源供給不良。UPSを経由せず仮復旧し、後日交換。
ブレーカーOFF・トリップなど電源系の要因
監視装置や場内回路のブレーカーがOFFやトリップして通信が停止するケースです。絶縁確認後に再投入して復旧します。
事例 監視装置のMCBがOFF。ONに戻して通信復旧を確認。
事例 交流ブレーカのトリップを確認。絶縁良好のため再投入して復旧。
監視装置本体・ロガー・変換器の故障
監視装置のDC出力低下、スマートロガーの不良、プロトコル変換器の不具合などの本体故障です。交換や設定のやり直しで復旧する一方、機器交換だけでは復旧しないケースもあり、配線や他機器との組み合わせ確認が必要です。
事例 監視装置のDC出力が大幅に低下。取り外し後に交換対応。
事例 ロガー交換とLAN入替でPCS通信が復旧。
PCS(パワコン)側の通信基板・内部要因
PCS内部の通信基板不良、内部通信エラーなどが原因のケースです。基板の入れ替え検証で特定し、交換で復旧します。通信ユニット交換でも復旧しない場合は本体側の診断が必要です。
事例 通信基板の入替試験で不良を特定。交換後、正常運転を確認。
事例 内部通信ランプの状態から基板故障の可能性を判断。再起動では復旧せず。
落雷など環境要因による計測機器の故障
落雷の影響でキュービクル内のメーターやセンサーが故障し、監視データが取得できなくなることがあります。該当機器の交換が必要です。
事例 落雷の影響後、マルチメーターが故障し値が表示されず。交換が必要と判断。
GHサービスの現場での調べ方・直し方
- 安全確保と現状確認(発電の有無、アラーム表示、遠隔監視の状態)
- 電源系の確認(監視装置・通信機器・関連ブレーカーやMCBのON/OFF、UPSの状態)
- ネットワーク状態の確認(ルーター/モデム/ONU/ハブのランプ、SIMの認識)
- 再起動・電源再投入の順序実施(監視装置→ハブ→ルーター→モデム/ONUの順など)
- 配線・端子の点検(LANコネクタの固定、端子ネジの締付、被覆損傷や爪折れの有無)
- 昆虫・湿気の確認と処置(アリの駆除、封止材の充填、必要に応じて乾燥剤設置)
- アンテナ・電波状況の診断(方位・設置位置調整、外付けアンテナの適用検討)
- 導通・絶縁の測定(場内LAN/通信線、センサ線。必要に応じて仮配線で切り分け)
- 機器入替えによる切り分け(ロガー/変換器/ハブ/UPSの交換試験、PCS側基板入替検証)
- 場外回線の調査・手配(ONUランプ異常時は回線調査、断線は補修や予備線切替を手配)
- 復旧後の監視(データ反映と再発監視、封止・配線保護・設定見直しの提案)
オーナー様ができる予防と早く気づくコツ
- 月1回以上、監視画面でデータ更新・日射計/PCSの値の整合を確認する
- 監視装置箱の隙間やケーブル引込部を点検し、防虫剤と封止材でアリの侵入を防ぐ
- LANコネクタに負荷がかからないよう配線を結束し、予備のLANケーブルと小型ハブを常備する
- UPSは定期的に自己診断し、バッテリーは寿命前の計画交換を行う
- 無線/LTEの場合はアンテナ固定と方位の点検を行い、電波が弱い現場は外付けアンテナや設置位置の見直しを検討する
- 場外の通信線に触れる樹木は早めに管理する(必要に応じて伐採の手配も可能です)
- 落雷後は監視データの異常がないか確認し、センサーやメーターの状態を点検する
よくある質問
Q. 監視装置の通信が止まっても発電は続きますか?
通信だけが止まり発電は継続していた事例も多くあります。一方で、通信異常を契機にPCSが停止した事例(通信指令タイムアウト/シャットアウト)も確認しています。見た目に止まっていなくても、早めの点検をおすすめします。
Q. 自分でできる初期対応はありますか?
安全を確保できる範囲で、監視装置・ルーター・ハブの再起動、LANケーブルの差し直しは有効な場合があります。高圧設備やPCSの操作、配線工事は危険を伴うため専門業者にご依頼ください。頻発する場合は封止や機器交換を含めた点検が必要です。
Q. 有線回線とLTEはどちらが安定しますか?
現場条件によります。有線は外部要因(木や車両接触、電柱の傾き)による断線リスクがあり、LTEは電波環境やアンテナの設置が影響します。GHサービスは双方のトラブル事例を経験しており、現場の条件に合わせて最適な構成をご提案します。
太陽光発電所のトラブルは、GHサービスへ
GHサービスは、福岡・佐賀・長崎・熊本・大分を中心に太陽光発電所のO&M(運用・保守)を行っています。調査から部品交換・修理まで自社で対応し、最短即日で伺います。草刈り・除草剤散布・竹や木の伐採、ケーブル盗難対策工事(防犯カメラ・警告看板・センサーライトの設置など)も、あわせてお任せください。
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